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ハンバーガーが怖い――それでも食べますか?
ハンバーガーが怖い――それでも食べますか?
「ハンバーガーは、狂牛病のもっとも"危険な感染源"になるであろう」
世界的な権威ある科学雑誌『ニュー・サイエンティスト』の冷徹な警告である。
1990年、イギリス中が最初の狂牛病パニックに陥ったときに、ジョン・セルウィン農業大臣は、思いきったパフォーマンスを演じて見せてくれた。彼はマスコミのカメラの放列の前で、4歳の娘とともにハンバーガーを美味しそうに頬張ってみせた。
そして、後日談には呆れる。その後は、記者がハンバーガーを差し出しても手に取ることすら拒否した。大臣自らその危険性に気づいたからだ。
1993年5月、ヴィッキーという少女が痴呆状態に陥り、新ヤコブ病と診断された。彼女はハンバーガーやソーセージが大好きだったのだ。
安売りハンバーガーと牛丼のウラ側
イギリスの狂牛病のとき、EU諸国をはじめ世界中は即座に禁輸措置をとった。しかし、この禁輸措置ほど信用できないものはない。
「飼料には、闇輸出がつきまとう」――専門家はその闇ルートの存在を認める。これは、食肉についても言える。かつて、オーストラリアの大ネズミ(ヌートリア)の肉が日本に闇輸出されている、という話を聞いたことがある。しかし、食肉の闇ルートを調べることはアンタッチャブルであるらしい。その話をしてくれた人にも「怖いから、私の名前を出さないで」と念を押された。
いま、食べ放題や低料金の焼肉店が続々オープンしている。牛丼屋が超安売りサービスをし、ハンバーガーは半額の65円。なぜなのか?
それは、「いま日本に、牛肉は100g 10円〜20円で入っているから」ということだった。
世界で一番安い牛肉を原料に
私はかつて『買ってはいけない』という本で日本マクドナルドを取り上げた。それに対してマクドナルドから抗議が届いた。「オーストラリア産の牛肉を使用しているので、熱帯雨林破壊とは無関係」「狂牛病は人間にはうつらない」などというものだった。
これがまったくの嘘であった。
日本マクドナルドの藤田田社長(当時)が週刊誌で、同社の食材調達法を「グローバル・バーチェシング(世界一括購入)といって原材料の世界調達です。牛肉、タマネギ、ポテトは、今どこが一番安いのか、瞬時に全世界から価格情報を集めて、一番安いところから仕入れます」と明言。
「オーストラリア産の牛肉のみを使用している」という同社広報部の抗議はデタラメだったのだ。その担当者も、誤りであったことを私に認めた。
この「世界で一番安いところ」というくだりを読んで、背筋が寒くなった。
かつて、第一次狂牛病パニックのとき、イギリスは9割の牛肉市場を失った。EUはじめ世界中の国々が、イギリス産の牛肉の輸入を禁止したからだ。のべ18万頭も狂牛病が発生している国の牛肉など、恐ろしくて食べられない。それが正しい反応だ。
当然、イギリス産牛肉の価格は大暴落して、タダ同然となる。はたして、これら「世界で一番安い牛肉」はどこへ消えたのだろう?
世界で一番安い牛肉を原料に
マクドナルド
日本マクドナルドの藤田田社長(当時)が週刊誌で、同社の食材調達法をグローバル・バーチェシンク゛(世界一括購入)といって原材料の世界調達です。牛肉、タマネギ、ポテトは、今どこが一番安いのか、瞬時に全世界から価格情報を集めて、一番安いところから仕入れます」と明言。
ルーツ隠しの“三角貿易"
むろん世界中の先進諸国は、イギリス産牛肉の禁輸を講じているから、直接輸入は絶対不可能だ。輸入審査の段階で「不許可」となる。
しかし、世界の食肉ルートには表があれば、裏もある。アジア、アフリカなど規制のゆるい第三世界の会社が輸入したことにするのだ。
たとえば、アフリカのギニアとか、第三国に輸入させ、さらにそれを輸入すれば「ギニア産牛肉」に化ける。さらに「原産地証明」などはハンバーガーのように混ぜてしまえばわからない。そのことをある専門家に聞くと、「可能性はあります。抜け穴ですね。ただし確認は業界内部の人でないとわからない。聞いても『やってます』とは言わないでしょうが(笑)」ということだった。
加工品は「原産地証明」が不要
その専門家は鶏肉の例をあげる。
「鶏肉の場合、アメリカから骨のついたもも肉が香港に輸出されます。それが中国に行って、中国で骨をとって焼き鳥やカラ揚げに加工される。それが日本にやってくる。揚げた状態で冷凍され、輸出される」
「この骨をとったヤツはそのまま日本に入ってくることもある。加工品は『原産地表示』なんかいらない。だから、食肉はいろいろ形が変わるとルーツがわからなくなる」
同じように、牛肉も塊のまま動くわけではない。ミンチに刻んでハンバーガー用パティにしたり、現地でどんどん加工し、混ぜたりしたら、もうわからない。第三国で加工してさらにX社からY社に輸出。ギニア産がインドネシア産、オーストラリア産に‥‥。日本は、輸入した最終国を言えばいい。だから、「オーストラリア産のみを使用」と言っても、まったく信用できない。
汚染されていないという保証はない
むろん、これら激安牛肉が、すべて狂牛病プリオンに汚染されているわけではない。その汚染確率はきわめて小さいと思う。しかし、ゼロではないという点に、われわれ消費者は注意をする必要がある。
日本政府はイギリスどころかEU産牛肉の禁輸措置を打ち出した。しかし、それがいかに抜け穴だらけかは、すでにイギリスからの汚染飼料の闇輸入例がすべてを物語る。食肉業者も闇ルートの存在を告白している。レンダリング・プラントによる悪魔のサイクルは、今後牛だけでなく豚、ニワトリまでプリオン汚染を拡散させていくのではないだろうか?
ヨーロッパの学者は「少なくと今後350万人から400万人が狂牛病で死ぬだろう」と予測しているという戦慄する情報もある。
いま、日本の若い人たちは、ただ安く肉が食べられることに夢中になっている。しかし、その光景に私は不安がこみあげてくる。狂牛病(新ヤコブ病)の潜伏期間は、少なくとも5年あるのだ‥‥。
レンダリングプラント
狂牛病さわぎで肉の危険性が少し認識されるようにはなりましたが、それとともに、
「アメリカ産牛肉=危険」「国産牛肉=安全」という図式が一般化されてしまいました。
レンダリングプラントというのをご存知でしょうか。
屠殺したが使い物にならない部位(角、ひづめ、腸、骨、血液など)や、病気で死んだ牛、腐りかけの動物の死体、癌に罹った動物、安楽死させたペット、保健所で処分されたペット、動物管理局に捕獲された野良犬、野良猫、そして道で轢き殺された死体、これらがミンチに刻まれ、高温蒸気で調理されます。
そして、浮いてきた軽い脂肪分は、化粧品や潤滑油、せっけん、ろうそく、そしてワックス原料などに精製され、より重いたんぱく原料等は、乾燥され、茶色の“肉骨粉"に加工されます。
その“肉骨粉"は、家畜の飼料と同様、ほとんどのペットフードの増量剤として使われています。
これは農家で「濃縮たんぱく」と呼んでいるものです。
全米で約9千万頭も飼われている牛のうちの約75パーセントが、日常的にレンダリング処理された動物死体で“栄養強化"されたエサを与えられています。
狂牛病 脳がスポンジ状になり致死率100%
さて、狂牛病と聞いてピンとくる日本人が、はたしてどれだけいるだろう。
テレビのニュースで、牛がよろめいて腰をぬかす。
前足が震え、立てない。そんな哀れなシーンが記憶にある程度ではないか。
発病した牛はまもなく100%死んだ。
解剖すると、脳が縮み、スポンジのように孔(あな)が開いていた。
よって“牛スポンジ状脳症”(BSE=Bovine Spongiform Encephalopathy)と命名された。
最初は牛だけに起こる特異な奇病かと思われていた。
しかし、そのルーツは思わぬところにもあったのだ。
狂って死ぬのは牛だけではなかった。羊やミンク、動物園のチーター、ピューマ、カモシカ、飼い猫までふらふら腰を抜かして死んでいった。
1980年代半ばからイギリス全土に爆発的に狂牛病が大発生した。
公式発表で約18万頭が発病。
このとき人々はまだ、これは牛だけの伝染病かと思っていた。
だがついに1996年3月20日、イギリス政府は「ヒトが狂牛病の肉を食べると新ヤコブ病(スポンジ状脳症)にかかるリスクがある」と発表した。
新ヤコブ病とは、狂牛病そのものだ。そして、汚染肉を1グラム食べただけでも感染するという。
世界中が騒然となった。
牛の潜伏期間は約5年。ヒトの場合、早くて5年、ふつうは10〜20年後に発病する。
初期症状としては物忘れがひどくなったり、記憶が飛んだりする。
その状態はアルツハイマーにもにている。
異常プリオンタンパク質は汚染肉を黒こげになるまで焼いても食用すると感染する。
>
ハンバーガーについて知るべきこと
注:ショッキングなシーンあり
Fast Food Nation Compilation/ PSA Animal Cruelty
「ハンバーガーは、狂牛病のもっとも"危険な感染源"になるであろう」
世界的な権威ある科学雑誌『ニュー・サイエンティスト』の冷徹な警告である。
1990年、イギリス中が最初の狂牛病パニックに陥ったときに、ジョン・セルウィン農業大臣は、思いきったパフォーマンスを演じて見せてくれた。彼はマスコミのカメラの放列の前で、4歳の娘とともにハンバーガーを美味しそうに頬張ってみせた。
そして、後日談には呆れる。その後は、記者がハンバーガーを差し出しても手に取ることすら拒否した。大臣自らその危険性に気づいたからだ。
1993年5月、ヴィッキーという少女が痴呆状態に陥り、新ヤコブ病と診断された。彼女はハンバーガーやソーセージが大好きだったのだ。
安売りハンバーガーと牛丼のウラ側
イギリスの狂牛病のとき、EU諸国をはじめ世界中は即座に禁輸措置をとった。しかし、この禁輸措置ほど信用できないものはない。
「飼料には、闇輸出がつきまとう」――専門家はその闇ルートの存在を認める。これは、食肉についても言える。かつて、オーストラリアの大ネズミ(ヌートリア)の肉が日本に闇輸出されている、という話を聞いたことがある。しかし、食肉の闇ルートを調べることはアンタッチャブルであるらしい。その話をしてくれた人にも「怖いから、私の名前を出さないで」と念を押された。
いま、食べ放題や低料金の焼肉店が続々オープンしている。牛丼屋が超安売りサービスをし、ハンバーガーは半額の65円。なぜなのか?
それは、「いま日本に、牛肉は100g 10円〜20円で入っているから」ということだった。
世界で一番安い牛肉を原料に
私はかつて『買ってはいけない』という本で日本マクドナルドを取り上げた。それに対してマクドナルドから抗議が届いた。「オーストラリア産の牛肉を使用しているので、熱帯雨林破壊とは無関係」「狂牛病は人間にはうつらない」などというものだった。
これがまったくの嘘であった。
日本マクドナルドの藤田田社長(当時)が週刊誌で、同社の食材調達法を「グローバル・バーチェシング(世界一括購入)といって原材料の世界調達です。牛肉、タマネギ、ポテトは、今どこが一番安いのか、瞬時に全世界から価格情報を集めて、一番安いところから仕入れます」と明言。
「オーストラリア産の牛肉のみを使用している」という同社広報部の抗議はデタラメだったのだ。その担当者も、誤りであったことを私に認めた。
この「世界で一番安いところ」というくだりを読んで、背筋が寒くなった。
かつて、第一次狂牛病パニックのとき、イギリスは9割の牛肉市場を失った。EUはじめ世界中の国々が、イギリス産の牛肉の輸入を禁止したからだ。のべ18万頭も狂牛病が発生している国の牛肉など、恐ろしくて食べられない。それが正しい反応だ。
当然、イギリス産牛肉の価格は大暴落して、タダ同然となる。はたして、これら「世界で一番安い牛肉」はどこへ消えたのだろう?
世界で一番安い牛肉を原料に
マクドナルド
日本マクドナルドの藤田田社長(当時)が週刊誌で、同社の食材調達法をグローバル・バーチェシンク゛(世界一括購入)といって原材料の世界調達です。牛肉、タマネギ、ポテトは、今どこが一番安いのか、瞬時に全世界から価格情報を集めて、一番安いところから仕入れます」と明言。
ルーツ隠しの“三角貿易"
むろん世界中の先進諸国は、イギリス産牛肉の禁輸を講じているから、直接輸入は絶対不可能だ。輸入審査の段階で「不許可」となる。
しかし、世界の食肉ルートには表があれば、裏もある。アジア、アフリカなど規制のゆるい第三世界の会社が輸入したことにするのだ。
たとえば、アフリカのギニアとか、第三国に輸入させ、さらにそれを輸入すれば「ギニア産牛肉」に化ける。さらに「原産地証明」などはハンバーガーのように混ぜてしまえばわからない。そのことをある専門家に聞くと、「可能性はあります。抜け穴ですね。ただし確認は業界内部の人でないとわからない。聞いても『やってます』とは言わないでしょうが(笑)」ということだった。
加工品は「原産地証明」が不要
その専門家は鶏肉の例をあげる。
「鶏肉の場合、アメリカから骨のついたもも肉が香港に輸出されます。それが中国に行って、中国で骨をとって焼き鳥やカラ揚げに加工される。それが日本にやってくる。揚げた状態で冷凍され、輸出される」
「この骨をとったヤツはそのまま日本に入ってくることもある。加工品は『原産地表示』なんかいらない。だから、食肉はいろいろ形が変わるとルーツがわからなくなる」
同じように、牛肉も塊のまま動くわけではない。ミンチに刻んでハンバーガー用パティにしたり、現地でどんどん加工し、混ぜたりしたら、もうわからない。第三国で加工してさらにX社からY社に輸出。ギニア産がインドネシア産、オーストラリア産に‥‥。日本は、輸入した最終国を言えばいい。だから、「オーストラリア産のみを使用」と言っても、まったく信用できない。
汚染されていないという保証はない
むろん、これら激安牛肉が、すべて狂牛病プリオンに汚染されているわけではない。その汚染確率はきわめて小さいと思う。しかし、ゼロではないという点に、われわれ消費者は注意をする必要がある。
日本政府はイギリスどころかEU産牛肉の禁輸措置を打ち出した。しかし、それがいかに抜け穴だらけかは、すでにイギリスからの汚染飼料の闇輸入例がすべてを物語る。食肉業者も闇ルートの存在を告白している。レンダリング・プラントによる悪魔のサイクルは、今後牛だけでなく豚、ニワトリまでプリオン汚染を拡散させていくのではないだろうか?
ヨーロッパの学者は「少なくと今後350万人から400万人が狂牛病で死ぬだろう」と予測しているという戦慄する情報もある。
いま、日本の若い人たちは、ただ安く肉が食べられることに夢中になっている。しかし、その光景に私は不安がこみあげてくる。狂牛病(新ヤコブ病)の潜伏期間は、少なくとも5年あるのだ‥‥。
レンダリングプラント
狂牛病さわぎで肉の危険性が少し認識されるようにはなりましたが、それとともに、
「アメリカ産牛肉=危険」「国産牛肉=安全」という図式が一般化されてしまいました。
レンダリングプラントというのをご存知でしょうか。
屠殺したが使い物にならない部位(角、ひづめ、腸、骨、血液など)や、病気で死んだ牛、腐りかけの動物の死体、癌に罹った動物、安楽死させたペット、保健所で処分されたペット、動物管理局に捕獲された野良犬、野良猫、そして道で轢き殺された死体、これらがミンチに刻まれ、高温蒸気で調理されます。
そして、浮いてきた軽い脂肪分は、化粧品や潤滑油、せっけん、ろうそく、そしてワックス原料などに精製され、より重いたんぱく原料等は、乾燥され、茶色の“肉骨粉"に加工されます。
その“肉骨粉"は、家畜の飼料と同様、ほとんどのペットフードの増量剤として使われています。
これは農家で「濃縮たんぱく」と呼んでいるものです。
全米で約9千万頭も飼われている牛のうちの約75パーセントが、日常的にレンダリング処理された動物死体で“栄養強化"されたエサを与えられています。
狂牛病 脳がスポンジ状になり致死率100%
さて、狂牛病と聞いてピンとくる日本人が、はたしてどれだけいるだろう。
テレビのニュースで、牛がよろめいて腰をぬかす。
前足が震え、立てない。そんな哀れなシーンが記憶にある程度ではないか。
発病した牛はまもなく100%死んだ。
解剖すると、脳が縮み、スポンジのように孔(あな)が開いていた。
よって“牛スポンジ状脳症”(BSE=Bovine Spongiform Encephalopathy)と命名された。
最初は牛だけに起こる特異な奇病かと思われていた。
しかし、そのルーツは思わぬところにもあったのだ。
狂って死ぬのは牛だけではなかった。羊やミンク、動物園のチーター、ピューマ、カモシカ、飼い猫までふらふら腰を抜かして死んでいった。
1980年代半ばからイギリス全土に爆発的に狂牛病が大発生した。
公式発表で約18万頭が発病。
このとき人々はまだ、これは牛だけの伝染病かと思っていた。
だがついに1996年3月20日、イギリス政府は「ヒトが狂牛病の肉を食べると新ヤコブ病(スポンジ状脳症)にかかるリスクがある」と発表した。
新ヤコブ病とは、狂牛病そのものだ。そして、汚染肉を1グラム食べただけでも感染するという。
世界中が騒然となった。
牛の潜伏期間は約5年。ヒトの場合、早くて5年、ふつうは10〜20年後に発病する。
初期症状としては物忘れがひどくなったり、記憶が飛んだりする。
その状態はアルツハイマーにもにている。
異常プリオンタンパク質は汚染肉を黒こげになるまで焼いても食用すると感染する。
注:ショッキングなシーンあり
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